彩りそえる紙のお話。

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僕が使っている紙のお話を少ししますね。

紙はすべて名古屋にある「紙の温度」という問屋さんから仕入れているのですが、ここの問屋さんがすごくてね、日本の紙はもちろんのこと海外の手すきの紙もいろいろ置いてあるんです。僕がこの問屋さんと出会ったのは今から十五、六年前になります。

その頃、東急ハンズ名古屋店の担当者から和風のウェルカムボードを企画デザインしてほしいとのお話をいただきました。その時のご要望は、筆文字をアクリルのフレームに入れて、和風でありながら洋のイメージも兼ね備えているオシャレなものをということでした。

そこで、アクリルフレームにはさんだときに美しい繊維が見えるように手すきの紙を探し始めて出会ったのが「紙の温度」という問屋さんに置いてあった、ブータンの手漉きの紙です。厚みと凹凸があって、字を書いてみるととても面白い線が書けました。

それ以来、ぼくはずっと紙の温度さんの紙を使い続け、今では毎月のように100枚単位で購入しています。
海外の手すきの紙をこれだけ使った作家さんは、きっとそんなにいないでしょう(笑)
それほど、この海外の手すきの紙の魅力ははかりきれないものがあり、僕自身紙のおかげで今の自分の字の味わいが生まれていると言っても過言ではないのです。

品質においては、間違いなく日本の手すきの紙は優れていると思います。ですが、海外の紙の荒削りな仕上がりが、ぼくには合っていたようです。絵を描く人も字を書く人も同じように体験することですが、偶然の美、二度と描けない線というものがあり、計算できないところに生まれる生きた線、これが大切なところで、ぼくはこの紙のおかげで助けられることもあるんですよ。

当初はブータンの手すきの紙を使っていたのですが、残念ながら現地で作らなくなってしまったので、途中からはネパールの紙を使っています。ロクタ紙といって、現地に生えているロクタという植物を使って手すきしているそうです。この紙とももう十数年間のお付き合いです。

当初は文字を書くための紙を買っていたのですが、段々とエスカレートして飾り紙に友禅紙も使いはじるようになりました。紙の温度にはたくさんの友禅柄の和紙も置いてあるので、見るとどれも欲しくなってしまいます。

耕望にはその他、福井の紙屋さんから仕入れる揉み紙や、地元岡崎の素楽紙土さんで購入している光沢紙も、常時、ストックしています。耕望で教室を受講される生徒さんには、こうしたストックを使った作品づくりもできますので、お近くの方はぜひ、幸田町の耕望をお尋ねくださいね!

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